2023/10/02

Domino技術者向け、IBM TechXchangeの見どころのご紹介

このたび、技術者の皆さんを対象に、以下の無料イベントが開催されます。このIBM TechXchangeは先月Las Vegasで大きく開催されたものの日本版のイベントですが、最新のテクノロジーやトレンド満載となっております。Notes/DominoがIBMを離れ数年がたちましたが、ここで紹介されるセッションが、Notes/Dominoが今後様々な形で活躍していくことに対して参考になると思い、Notes/Domino技術者の皆さん向けに、ご紹介させて頂こうと思います。

IBM TechXchange Conference Japan

日時:2023年10月31日 (火) -  2023年11月1日 (水)
会場:ベルサール東京日本橋
〒103-6005 東京都中央区日本橋2丁目7−1 B2・4F・5F 東京日本橋タワー

 申込: https://ibm.biz/techxchangejp
→Dominoな皆さんは私の仲間ですので、[本イベントをご案内したIBM社員名]のところに、私の名前「村上 雄介」 を是非入力して下さい。


ブレイクアウト・セッションよりDomino技術者が楽しめそうなものを、以下にご紹介します。

 1. AIOps トラック

 InstanaやTurbonomicという製品キーワードがついたセッションがあります。

最新のDominoサーバーは、New Relic との連携機能を持っていますが、Instanaも同じ APM (アプリケーション・パフォーマンス管理)ツールです。DominoとInstanaの連携は、notes.iniを使って簡単に出来るようになっています。最近ではオブザーバビリティなどのキーワードも出てきましたが、最新の監視技術にご興味があれば是非 Instana のセッションにお越し下さい。Domino連携ではないですが、Instana自身のハンズオンセッションもあるので、概要と価値を理解しやすいと思います。

ちなみに、Dominoとの連携の設定はこんなかんじです。試してみたい方、私が業務外ボランティアでお手伝いします。
Monitoring HCL Domino 

 また、Turbonomicという製品は、サーバーのリソース最適化を提案してくれるツールです。特にパブリッククラウドを利用する場合はクラウドコストという観点でも大きな効果を発揮します。

DominoサーバーのCPUやI/Oについては、昼間と夜間で利用が異なるし、リソースが最適なのかを判断するのはなかなか難しかったと思いますが、Turbonomic が運用にあわせて AI でリソースを推奨してくれるのは、参考になると思います。(私自身もDominoサーバー適用は見たことがないので、どう推奨が出るか興味があります)

2. Business Automation トラック 

 Dominoの皆さんは、"Process Mining" というソリューションをご存じでしょうか。
ワークフローのログをインプットとして、業務フローがどうなっているかをビジュアル化し、どこのフローに時間がかかっているか、などの分析を可能にするものです。

分析可能とするためには、ログファイルの中で必要とされる属性がいくつかありますが、それが満たされていればもちろんDominoのワークフローも分析が可能です。また、今後この手の分析ツールに対応していけるためにも、これからのワークフローアプリ開発では、こういたログ設計が求められて生きます。是非Dominoのアプリケーション開発者の方に、ログフォーマットを適切に設計して頂けるよう、この技術を理解して頂けるとよいと思います。

また、BAWとRPAの組み合わせは、エンジンこそ違いますが、ワークフローとRPAを組み合わせることで、業務の自動化が進んでいくヒントになると思いますし、ODMなどの意思決定支援と組み合わせることで、Dominoのアプリに新しい可能性が生まれるかもしれません。 Business Automationのトレンドは、Dominoの技術者にもお勧めです。 

3. Application Runtime & Integration トラック

Dominoの世界も最近は LEAP などが出てきて、これまで以上にAPIベースの他システム連携が増えてきていると思いますが、Integration 系の製品、例えばIBM製品でいうと API Connectや ACE などの製品と連携することで、よりコントロールされた形で安全にAPI を外部公開出来たり、もしくは、異なるインタフェースを持つシステムとの連携が出来るようになったりします。最近はACEなどの連携基盤を設けることも増えてきたので、連携対象システムのインタフェース要件にDomino側が引きずられることなく、連携も出来るようになってきています。

また最新Integrationセッションで紹介される StepZen は GraphQL API の生成を可能にしますが、GraphQL のパワーは、IBM Watson Workspaceを当時触っていた皆さんなら理解頂けると思います。Domino REST API と組み合わせることで、より幅広い連携も可能になりそうです。

4. Security トラック

古くから Dominoといえばセキュリティでしたし、古くは TAM / ISAM といったWeb認証関連ではいろいろな設計考慮点があって、技術者活躍の場でもありました。
今回のセッションで直接的にDominoに関係あるかは、ちょっと判断出来ないですが、昔から国内外で CISSPを目指すDomino技術者は多く、セキュリティ知識のアップデートによいと思いますし、やはり最新のトレンドから学ぶことで視野が広がると思います。 

5. IBM Cloudトラック

 もちろん、IBM CloudのIaaS上やコンテナ上でDominoは稼働するわけですが、Cloudの最新トレンドの理解、さらには、コンテナの設計という意味では、技術者の皆さんに参考になると思います。Dominoも一応 OpenShift 上で動作するとも言っていますが、実際はどうなんでしょうかね。

6. Watson & watsonx.ai トラック

 一昔前から、Dominoの掲示板などでカテゴライズされた自然言語を教師データとして、watsonx Assistantでの自動分類を行いチャットボットを作成する、などの試みはされてきましたが、最近は大規模言語モデル(LLM)の流行りもあり、Domino上のアプリで行われる自然言語コラボレーションにも、ここらへんのAPIを使うことで、新しいソリューションの可能性が生まれてくると思います。是非今後のヒントとして頂ければと思います。

7. Data Science & Data Ops トラック

 直接的にDominoとは関係しないかもしれませんが、データカタログの考え方など、最新のデータ系の運用管理トレンドのキャッチアップは、DB担当者としては抑えておくとよいかと思います。ハンズオンもあるらしいので、よかったら体験してみて下さい。


この他、技術者として量子コンピュータについて知る機会であったり、IBM Champion について学んだり交流出来る機会としても貴重です。
最近では、買収が進んだ Apptio に関するFinOpsについても注目が高まっており、IT環境の最適化に関する話も業界トレンドとして面白いかもしれません。

ざーっと見どころを書きましたが、Dominoは特殊技術も大きく、油断すると技術者として視点が狭くなってしまいがちで、私自身技術者として過去の反省があります。
今回、無料で2日間、様々な技術に触れる機会でもあるので、もしお時間が許されるなら遊びにいらして下さい。午後だけなど限定的な参加であっても、結構です。

この他、上記に思いを記載しましたが、詳細を会話してみたい、などがありましたら、Domino技術者上がりの私が、業務外としてボランティアでご相談に乗りますので、お声をかけて下さい。

2021/04/26

HTTP関連問題判別

そのまた昔、セミナーで「Lotus Domino Webサーバーのパフォーマンス・チューニングと問題判別」というタイトルでお話をしました。最近 Notes/Domino 以外の Webプロジェクトで、予期せぬアプリ動作を調査する機会がありましたが、HTTP関連で予期せぬ動作があった場合、Domino で鍛えてきた技術者に出番があるのではないかな、と思い、少し書いてみます。もちろん、Domino Webアプリケーションでの問題判別にも有効です。

1. 覚えておきたいHTTP基礎知識

HTTP系で上手く動かない場合、デバッグなどをすると思いますが、その時に以下のことを知っておくと話が早いです。
- リクエストとレスポンスという概念があり、それぞれ「ヘッダー」と「ボディー」がある
- 認証系のデータは、主にリクエストヘッダーに乗る。Cookieに入ることが多い。
- レスポンスにはステータスコードがあり、200, 302, 304, 401, 403, 404, 500 くらいは知っておくと会話がしやすい
- HTTPS が使われるケースも多いので、SSL証明書に関する最低限の知識もあったほうがよい
- Origin/CORS関連。ブラウザからのGETリクエストに想定されるCookieがつかないこともあるので、知っておくとよい。

2.よくあるWebサーバー構成:

Webブラウザ(1) -- リバースプロキシ(2) -- Webアプリケーションサーバー(3)

という構成はよく見かけます。例えば
1: IE, Chrome, Firefoxなど。最近では場合によってスマートフォンなどからのアクセスもあり得ます。
2: ないケースもありますが、よくあるのは認証プロキシとしてTAM/ISAM/WebSealなどがあったり、Apache, Ingressなどが入るケースもあると思います。
3: Dominoなどですね

問題が発生した時は、1 で見えるものと、2 で見えるものと 3で見えるものが異なったりするので、それを意識しておきたいです。例えば:
- 1でトレースする内容と、3に届く内容は、2の動作によって異なる
- 2は内容を書き換えることがある
などがあります。特にHTTPヘッダは 2 と 3 で異なる部分が多いです。

3.よくあるデバッグ

アプリやWebサイトが上手く動作しない場合、例えばローカルや検証環境では動いていて本番では動作しない場合、多くはHTTPをトレースすることになると思います。トレース場所としては、ブラウザ(1)か、リバースプロキシ(2)か、Webアプリサーバー(3)か、ということになるかと思います。2, 3 は本番リクエストが流れることも多く、通常 1 でデバッグを取ることが多いと思いますが、1 で取得したデバッグは、必ずしも 3に流れてくるとは限らないので、疑わしい場合は2 や3でのデバッグも必要です。

1) Fiddlerを使ったデバッグ

Fiddler Classic | Original Web Capturing Tool for Windows

10年以上も前から王道ですが、ブラウザでのデバッグに比べても全部見れる安心感があります。ローカルのプロキシサーバーを書き換えるので、環境によっては向いていないところもあるかもしれませんし、また、HTTPSの場合は証明書の設定は必要です。

Fiddlerでのデバッグを行う時に、HTTPリクエストとレスポンスのヘッダとボディについてを理解していないと、読むのが大変だと思いますが、慣れてくると
- 本当にこういうリクエストは行われているのか?余計なリクエストが行われていないか?
- サーバーからのステータスコードはどうなっているのか
- サーバーからのステータスコードは、リクエストヘッダーに対して妥当なものか
- ブラウザはリクエストヘッダーに本当にCookieをつけているのか
- サーバーからのCookieはレスポンスヘッダーの中できちんとつけられているか
- サーバーからのレスポンスヘッダーで、キャッシュの扱いはどうなっているか
など、気になるところが見れるようになります。私の経験では、環境差での問題判別を行う時には、HTTPヘッダーの動作を見ることが多いです。

2) iPhone / iPad のブラウザのデバッグ

動作が iPad の Safari でアクセスした時だけ違う、ということがあるのですが、そういう時になかなかデバッグ出来ずに困っていたところ、やり方はあるようです。

Windowsで iOSのSafariのWebアプリをリモートデバッグする方法 - Qiita

ただし、現在のブラウザのタブを指定してデバッグを行うので、ブラウザ起動時の動作などは難しそうです。可能な限り、PC上のブラウザで再現させて、Fiddlerで取得してしまったほうが私はラクでしたが、iOSのみで再現する現象をトレースする時には心強いです。

なお、iOS用のデバッグプロキシとして、Charles という有料ソフトがあるようです。
PC接続してのデバッグだけではどうしても難しいことがあり、やはりローカルプロキシでがっつりと内容を取得したい場合があるので、そういう時に便利だと思います。
(私も少し触ってみましたが、プロキシ用のローカル証明書の設定ページへのアクセスが切れていて、HTTPS必須アクセスでデバッグしたかったところ断念しました。)

やはりHTTPヘッダーが見れると、嬉しいですね。

4. その他 Tips

Webサーバーの動作を試すためにも、自由にHTTPリクエストを発行出来る環境があると便利なので、curl や REST Client があると便利ですね。
(多分 Fiddler に、いろいろと使いこなせない便利な機能があると思います)

2020/01/29

SCNotesからの移行先としてのMSP

2020年7月に、SCNotes/Connections Cloudが終了することにあわせて、昨年末にオフボーディングに関するWebinarがありました。この中では、MSPに関する言及がなかったため、移行先はオンプレミス環境やIaaS環境を想定してしまいがちでしたが、もう1つ有力な選択肢としてMSP(Managed Service Provider)があります。

現在、HCLから認定されているCloud Hosting Partner は執筆時点で5社あります。
Choose your HCL Cloud Hosting Partner  

本日、その1つであるISW社(withケートリック社)のMSPに関してWebセミナーがありました。その内容から、私個人の理解を共有します。

ISW社はオーストラリアのビジネスパートナーであり、古くからIBMとは密に協業。例えばConnections の Activity Plus など製品に取り込まれる機能なども開発実績がある。
⇒私の知識では、もともとKudos XXXなどConnections系の世界的ヒットアドオンを作っていたり、また Mat Newman氏もこちらの出身であったと記憶しています。

Dominoのクラウドサービスでは以下が提供される。(ホームページより引用
- お客様専用の Domino V11 メールサーバークラスター
- メール及びメールとアプリに必要な HCL ライセンシング
- HCL Notes v11 クライアントソフトのダウンロード権利
- iOS 及び Android 端末からのモバイルアクセスに対応する Traveler
- Verse のモダンなブラウザ用メールインターフェース
- アンチスパム/アンチウィルス/アンチマルウェアのサービス (お客様がお客様自身のものをご提供いただける場合に限り)
- 各ユーザーごとに 50GB のストレージ
- バックアップ

⇒セミナーでは、(現在のSCNはマルチテナントですが)シングルテナントとして提供されるということでした。
クラスタがあり、バージョンは11であり、Travelerがあり、サイズは50GBであることを考えると、不満のない構成だと思います。
また、移行にあたっては、個々のNotesクライアントのロケーション文書で、ホームサーバーとメールファイルパスを変える必要がどうしても ありますが、この ISW/ケートリック社のサービスでは、MarvelClientを使ってそこをコントロールするようなことも出来るようです。

価格についての案内
⇒お問い合わせすると教えて頂けるようです。ISW社はオーストラリアの会社ですが、ケートリック社のプレミアムサポートを使うことで、日本語の窓口も出来るようです。
なお、説明によると、MSP価格というものがあるそうで、そこのMSPであれそこに従うのではないかと思いました。
SCNの環境からMSPの環境に持って行く場合、もちろん移行作業が発生しますが、サービス利用料と移行料金について、驚くべき発表がセミナーの中でありましたが、そこについてもきっとお問い合わせが出来ると思います。
https://product.ktrick.com/msp

Connections Cloudの移行
- Sametime Meetingの機能が新環境では提供されないが、それ以外ほぼ同等の機能が利用出来る
- Kudos Boards などもオプションとして利用出来る
⇒ISW社はそもそも HCL Connections の製品機能に取り込まれる機能を開発していたりするくらいですので、Connectionsのスキルが非常に高いと思います。期待出来そうです。

(まとめ)
SCNotes環境は、HCL社よりガイドがあるオフボーディングのプロセスに基づき、オンプレミスやIaaS環境へ移行することも出来ますが、クラウド環境を綺麗に引き継げるMSPは非常に有力な選択肢だと思いました。
まだ日本でどれだけ検討されているかわかりませんが、何の案件も持たない私が問い合わせしても親切に資料をお送り頂けましたので、現在検討中の方は、気楽に(?)問い合わせてみるとよいと思います。
https://product.ktrick.com/msp

2019/12/19

IDボールト信頼認証の有効期限が10年の件

先日、HCL社より以下のようなTechnoteが発行されているのを確認しました。

ID ボールトの認証情報の更新について

この内容ですが、IDボールトの中で使っている「ボールトの信頼証明書」と「パスワードリセット認証」は、ID ボールトの新規セットアップから 10 年後に期限切れになる、という内容です。
IDボールトは、およそ10年前、Notes/Domino 8.5 で登場した機能で、それから10年が立ち、この現象が報告されるようになったということです。
世の中を見回すと、今年の3月あたりには、イタリアのほうで報告があったようです。(ID Vault: default certificate expiration is on the way

この期限を延長する方法ですが、Technoteに従えば簡単に出来ることがわかりました。私も手元で試してみましたが、エビデンスをとりながら2人で慎重に作業をしたとしても、1時間かからずに出来る内容だと思います。ただし、Dominoディレクトリに対して変更が入るのでバックアップなどは認識しておく必要があります(手順にもあります)。
注意点は特にないですが「IBMのNotes認証の調査」ボタンを押しただけでは有効期限は表示されず、一度「証明書の発行者」の何かをクリックする必要があります。

この報告を受けて、管理者として、そしてコミュニティとして実施すべきアクションが2つあると思います。
1) 現在IDボールトを利用している場合、その期限がいつかを確認する。
すなわち、Dominoディレクトリの認証ビューを開き、ボールトの信頼文書を開いて「IBM Notes認証の調査」をクリックして、証明書の発行者をクリックする、という意味です。
もし期限が近ければ、使えなくなる前に作業スケジュールを立てておいたほうがよさそうです。IDファイルダウンロードなど、ボールトに関する操作が発生しなさそうな時に行うのがよさそうです。



2) 改善要望を出す
現行では、この回避策を使って作り直しても、デフォルト10年固定で作成されていまい、10年に一度の作業が発生してしまいます。
これに対して、アイディア・サイトに以下のアイディアが投稿されました。
The expiration date for ID vault certificate is not able to update
ここにいいね、がたくさんつくことで、次回作成時には期限を決めて長くすることも出来るようになるかもしれません。(2020/01/09 追記:どのような実装になるかはわかりませんが、ステータスが Likely to implement に変更されました!)
IDボールトは、Notesのセキュリティの要でもあり、管理の泣き所でもあったIDファイルを見事にまとめた素晴らしい機能だと思いますので、無事機能拡張されてスムーズに運用できるようになるとよいですね。

2019/12/17

What You Need to Know: Moving Your Mail from SCN/Verse

12/12(水)の日本時間深夜 24:00 より、「What You Need to Know: Moving Your Mail from SCN/Verse」というタイトルの Webinar がありました。私も、方針が気になるところでしたので、こちらのセミナーを受講してみました。

(Updated 12/20)
このセミナーの動画および、Q&A の一覧が公開されました。
Moving Your Mail from SCN/Verse: What You Need to Know - Digital Solutions

まず重要なのは以下の点です。
  • 2020/7/16にサービスの停止が予定されている
  • SC Notesからのデータ移行は、複製のみがサポートされている
    (注:SCNへの移行はFTPもサポートされていた)
その上で、SC Notesからの移行プロセスは、以下の7ステップになると紹介されました。

1. メールファイルの確認 
メールファイルのサーバーやパスを確認する。Dominoディレクトリの「メールユーザー」ビューの分析。なお、Dominoディレクトリを分析するためのカスタムテンプレートが提供されるかもしれない、といったことが話されていました。

2. メールファイルの複製
ステージングサーバー(移行時にメールを一時的に複製するためのサーバー。なくてもよいが、あったほうが計画が立てやすい)にメールデータベースのレプリカスタブを作成する。そのためのACLなどもあわせて設定する。

公開された Q&A によると、replicateDBツールというものが公開されるようです。

3. オンプレミスへのプロビジョニング
ステージングサーバーから、オンプレミスのメールサーバーに複製を行う。SCNのサブスクリプションの停止。

4. Dominoディレクトリのアップデート
Dominoディレクトリのユーザー文書の、メールサーバーおよびメールファイルのパスを、オンプレミスのサーバーに変更する。

5. キャッチアップ複製の実施
移行期間中に配信されたメールなど、差分を複製でアップデートする。
手動でもスケジュール複製でもよい。

6. クライアントの再設定
モバイル、Web、Notesクライアントいずれであれ、オンプレミスのサーバーをポイントするように変更する。

7. お掃除
ステージングサーバーのお掃除や、必要なら MXレコードの変更。

このステップは、オンプレミスから SCN へのオンボーディングを経験したことがあると、似たようなプロセスかと思います。

ただ、これは、オンプレミスにDominoの環境を用意して、そこに移行するという話になります。移行対象は Domino 10 / Domino 11 になるでしょうから、コンテナを使ったりと技はあるでしょうが、そうではない話として、最後にBP様のクラウドの話がされました。

以下の内容がセミナーでも紹介されました。
Choose your HCL Cloud Hosting Partner
ここにある4社が紹介されました。

ところで、セミナーの内容を外れますが、この4社のうちの1つ ISW社のソリューションについては日本のケートリック社から以下のアナウンスが出ています。
 IBM Connections Cloud のサービス終了でお困りのお客様へ
 ISW社は長年Domino/Connectionsに関わっており、多くの Champion を輩出していることでも有名ですので、安心出来るサービスではないかと思います。

さて、こちらのセミナーですが、SCNからオンプレミスへの移行(オフボーディング/offboardingとも呼ばれます)について、別途ガイドブックが提供される、という話です。
今回もステップはわかったものの、ACLに追加すべきエントリやそのタイミング、レプリカスタブの上手い作成方法、またもともとのステージングサーバー、メールサーバー側でしておくべき設定など、細かいところは考慮が必要でしょうから、細かいことはこちらを参照して、ということになると思います。

2019/12/08

HCL Factory Tour 4 in TOKYOに参加してきました

先日 12/4(水) に開催された、HCL Factory Tour 4 in TOKYOに参加してきました。
開発総責任者のRichard Jefts氏から始まり、よく名前を見かける開発リードの方々や製品担当の方々がまとめて来日されて、丸一日のイベントとなりました。
今後の技術方針、また、当日発表のDomino V11, Sametime V11, Connections 6.5 の内容説明などが行われましたが、次々に出てくる新しい話とワクワク感に、以前Lotusphereに参加して、Irisの優秀な技術者からの未来ある話に会場一体となって興奮したことを思い出しました。

以下手元のメモから、気づいたところを紹介します。(内容に誤りを含む可能性がありますので、正確なところはHCL社発表の資料などをご確認下さい)

全体として:
- 日本は最も大きい市場の1つであると認識されていて、日本からの要望も積極的に聞いている。
- Domino, Connections, Sametime については、(市場がスピードを受け入れられるなら)毎年メジャーリリースを出す。既に次のリリースの検討も始まっている。
-Marketing Buzzの重要性を理解している。アナリストやプレスとの会話も力を入れていきたい。彼らの来日においても、日本でのアナリストとの会話を予定している。USやヨーロッパでも行っているが、そのフィードバックは非常によい。
- クラウドに関しては、(今のSCNotes/Connections Cloudの話はあるが)、「part of our strategy」と認識している。
- 今は、技術負債と向き合っているところであり、V10で手を入れ、V11では新機能を多く投入、V12では更なる可能性を見せたい。

技術方針:
 - クラウド・ネイティブの重要性。特にコンテナ技術(Docker)はデプロイの方法を変えた。1台のサーバー、メモリ共有空間の中でのプロセス通信から、個々の機能を各コンテナ上で動かし疎結合させていく。
- イベント駆動アーキテクチャ(Event Driven Architecture)。プロセスがバラバラになるということは、プロセス間通信をどのようにするかを考える必要があり、それがイベント駆動アーキテクチャ。
- 「Augment(増加)」「Collaborate」「Speed」がキー。
- Docker上のマイクロサービスとして動かすなど。
- Event Driven は、HCL社だけではなく、Google, Microsoft, RedHat, Adobeなども目指す方向である。
- 例えば Domino, Connections, Digital Experience(Portal)で検索を透過的に出来るような世界が出来る。今、各製品はアーキテクチャがバラバラでサイロ化されている。
- 将来的には "Cloud Native Platform" としてコンテナ管理アーキテクチャがあり、イベント・ゲートウェイや API ゲートウェイを通じて通信が出来るようになる。(プロセス間通信がRESTから変わる)
-  アーキテクチャが変わっていくことで、オートスケールや、ゼロ・インストールといったものも、実現出来るようにしたい。
- 相互互換性のためのオープン技術、イベントデータの共通フォーマットとして、2019年10月24日に、CloudEvents の 1.0 が発表された。Domino V11では、このCloudEvents を既に実装している。(拍手)
- 例えば、Dominoの会議室予約機能をより拡張し、IoTセンサーと連携し、iPadで動く Event Driven Architecture / Cloud Native Moduleを意識して、今の部屋の状況を確認するプロジェクトをやってみた。このプロジェクトは、マニラのDominoを全く知らない5人の若手技術者にやらせてみたが、1カ月程度で完成してしまった。
- Project Keep というものの紹介として、Visual Studio Code から Dominoの設計要素に直接アクセスするデモがありました。(拍手)
- LotusScript を動的に JavaScriptに変換し(ただしOS依存などもあるため網羅性90%くらいで) フォーム上で動いていたコードがJavaScriptとなりコンテナ上で動くような未来が考えられる。
- Designerをよくしたい、という思いを持っている一方で、標準IDEを自由に使った開発というのも重要視している。

Notes/Domino関連:
- Domino Volt ⇒ローコードでアプリ開発が可能。開発速度のアップ。
- iPad用のNomadに加え、iPhone, Android, ChromeOSで動くものが年末くらいに登場予定。
- Domino Event Publisherというものが出来て、文書作成などのDominoイベントにあわせて、イベントが外部発行される。それを、外部のMQ(RabbitMQなど)⇒CloudEvents⇒外部ランタイム(Node.js/Node-RED)などというフローでアプリケーション連携させることが出来る。
- SametimeとサードパーティのWeb会議の統合。セキュアチャットを実現する。
- Verseオンプレミスはどんどん進化する。iNotesが使われていることはわかっているが、是非Verseを使って欲しい。
- DAOS Tier-2ストレージをリリースするが、まだバックアップなどを含めいろいろとやるべきことがあると考えている。
- パフォーマンス監視について Panopta とパートナーシップ

- シンクライアント・ストラテジーとして、Nomad, Verse, Sametime を対象に四半期ごとにアップデートを提供していく。
- 今後は Web Assembly の技術を使って WebブラウザからNotesクライアント風で動くものを提供していく。(2020年)(拍手)
-  VerseにもPWA技術を展開する。1.0.10からの予定。


 Connections関連:

- Connectionsでも製品改善のための Product Ideas Lab でアイディア募集しているので、是非参加して欲しい。
- Connections 6.5 はサイドバー、タッチポイント、外部ユーザーの招待、アクティビティプラス(Kudos Suite)が目玉。
- カスタマイズ、またElasticSearchというキーワードも使われていました。
詳細は、以下の動画デモなどがわかりやすいと思います。日本のイベントではこのデモは公開されませんでした。

Digital Experience関連:
- 現在21セットの様々な違った技術を使ったAPIセットがあるが、GraphQLやOpen REST APIで今後は考えていきたい。
- API は Node.js ベースの Loopback の利用を考えていきたい。
- 構築を早く。コンテナ技術の利用により、これまで2週間程度かかっていた構築も 2分30秒で完了。
- Continuous Delivery として、毎月のコンテナアップデート。
- WASベースとした構成も今後5年間はサポートされるが、コンテナベースにすると、ノーインストール、自動アップデートなど幸せになれる。ハイブリッド構成も可能で、ここ5年間は両者に相互互換性を持たせる。

Sametime関連:
- HCL社になってSametimeはチームを再編成。チーム規模は3倍となり、大きな投資が受けれる。
- これまでのSametimeは非常に複雑であったが、それをシンプルなものにする。
- これまで Notesクライアントに組み込まれる Sametime はバージョンがいつも遅れていたが、これからは同じリリースを提供する。
- インストールモジュールは、10GB から 100MB になり、非常に簡単。
- Webチャットには React の技術を使い、最新技術も活用している。
- MS Teams や Slack が出来るチャンネルだが、Connectionsのコミュニティとシームレスに組み合わせることで、より効果的にコミュニケーションが出来る。
- オープンソース jitsi技術との統合、など。


私の手元の資料を、当日の理解により記載しましたが、参考程度に読んで頂き、私が当日感じたワクワク感を少しでも共有出来れば嬉しいです。

こちらのイベントの詳細は、写真付きでHCL Masterの中野さんが報告されていますので、そちらもあわせてご参照下さい。
HCL Factory Tour 4 in Tokyo に参加しました

2019/12/05

Notes/Domino技術者がUdemyで学ぶWebアプリケーション開発

Notes/Domino技術者が勉強する、というと、どうしても HCL社のセミナーやスライド、Lotusphere(IBM Connect / Engage) などカンファレンスのスライド、HCL Masterを筆頭とする、ブロガーの投稿、もしくはフォーラムや StackOverFlowを眺めるなど、ついつい Notesコミュニティ内での発信を考えてしまいますが、外部コンテンツでも面白いものがあると思います。

ちょうど現在、サイバーマンデーの最中で、教育コンテンツが激安で入手できると思い、私が最近受講した、おすすめの Webコースを、Notes/Domino技術者向けにご紹介しようと思います。

こちらのコースになります。
The Complete 2020 Web Development Bootcamp

 Udemy というサイトでは、これに限らずたくさんのコースがあります。通常 24,000円で販売されることが多いのですが、サイバーマンデーの現在に限り 1,200円です。年に数回激安のタイミングがありますが、おそらく今が一番お安い時だと思います。

こちらのコースでは以下のことが動画で学べます。

HTML, CSS:
Dominoに限らず、またWebアプリ開発者に限らず、基本的な知識だと思います。コース最初ですので、コース慣れ・英語慣れのために全部見てもよいですし、チェックボックスだけ付けて先に進んでもよいです。

Bootstrap:
世の中では結構使われていると思いますし、Dominoでも使えます(Domino, Bootstrap で検索すると、既にいろいろな例が紹介されています)。知っておくと便利ですし、レスポンシブを目指さなかったとしても、標準的なボタンの利用など、Webサイトが綺麗に作れると思います。

JavaScript, DOM:
これまでもDominoで普通に使われていると思いますので、スキップしてもよいですし、眺めてもよいと思います。

jQuery:
Dominoにも組み込めますし、ちょっとしたDOM操作など便利です。知らなくてもチュートリアル見ながらすぐに使える機能ですが、一度動画で学んでおくとよさそうです。
Ajaxも便利ですが、確かこの講座では、そこをやらなかったような気がしました。。

UNIXコマンドの基本:
Domino技術者でAIX/Linuxなどを触るなら必須知識ですが、この動画は31分程度ですので基礎がさらっと学べる程度です。コマンドライン怖い方は、やっておくと安心です。

Node.js, Express:
 今は AppDevPack として Node.js を使うことになりましたし、その場合はあわせて Expressを使うケースも多いと思います。このコースは後半 Node.js を結構使うので、不慣れな Notes/Domino 技術者も多くを学べると思います。
製品のほうでも、今後は Express の先になる Loopback というフレームワークを使って API を作成する、といったことを開発者が言っていました。

Git, Github:
Dominoで開発しているとあまり馴染みがないですが、これからは Dominoを知らない技術者が Node.js などで関連するコードを書いたりすることが期待され、そうなると、Git/Github を使うことになると思います。
また、Domino Designer上の開発は、今後 Visual Studio Code への対応によって、他のIDEに移行していく可能性があり、そうなると、やはり Git などを活用する未来が予想されます。

API/REST:
既にDominoでモダン開発している方にはお馴染みでしょうが、最新のDominoはLotusScriptでもHTTPやJSON処理が出来ることもあり、外部連携がますますさかんになります。Node.js が絡んでくると、ますます必要になると思います。一度学んでおいてよいと思います。

DB/SQL:
既に古くからある技術ですのでスキップしてもよいですし、 1時間程度なので、見てしまってもよいと思います。

MongoDB/Mongoose:
SametimeではMongoDBを使うようになりましたし、NoSQLについて1つ何となく知っておくとよいと思います。Dominoとしても、アプリで使うデータをNSFに書いて、使うか使わないかわからないとりあえずデータは MongoDBに書いておく、なんて使い方もあるかもしれません。

認証/セキュリティ:
Dominoの場合は認証はミドルウェアが用意するのを使うだけですが、世間のWebアプリケーションでの認証実装方法やパスワード管理に関する基本を知るのはセキュリティ知識として大変重要ですし、OAuth2.0についてや、GoogleIDを使ったログインなどを学べるのは興味深いです。

React.js:
これは2020年から加わったモジュールで、私も未学習です。Designerにべたっとコードを書くDominoアプリに直接使えるとは思いにくいですが、今後 Sametime のWebインタフェースは React で実装されるということですし、仮想DOMの概念はこれからのWebアプリ開発の主流になってくるので、Dominoの世界もいつか取り入れてくるかもしれません。この React だけでもたっぷり 8時間あります。


さて、この大変ボリューミーなコースですが、全部で52時間あります(私がやった2019年版はReactがなかったので44時間)。そして全て英語です。
ただ、この講師の Angela Yu さんの英語は大変テンポがよく、女性の声ですので聞き取りやすいです。英語字幕もつきますので、私は英語字幕を有効にして 1.25倍速で聴きました。基本はコードを書いているのを見るだけなので、ほぼ問題なくわかりましたし、難しい単語や表現も一切なかったと思います。時々「さあやってみましょう」という課題は出ますが、別にやらなくて眺めてわかった気になるだけでもOKです。コースを全部視聴すると認定証ももらえます。
Angela さんは Udemy で iOSアプリ系の講座ももっていますが、どの講座も大変受講生評判がよく、この講座も評価4.7で最上級クラスです。

Udemy にはいろいろな講座がありますが、私は評価 4.5 以上の講座を狙って、自分の苦手な分野や勉強したい分野のコンテンツを、この安いサイバーマンデーの間にバシバシ買いました。日本語のコンテンツもありますし、日本語字幕のコンテンツもあります。
遊びだと思ってやってみると楽しいと思います!

Notes 10クライアントのAutoUpdateについて

本日いつものようにブログを巡回していたら、以下の投稿が目に入りました。Lotusphereなどでもおなじみ、イタリアを代表するHCL Master の Roberto氏の投稿です。

Notes 10.x Autoupdate works only for English clients

 これは、Notes 10 の新機能の1つである、クライアントのオートアップデート機能(AUT)に関する記事です。オートアップデート機能は、スマートアップグレード機能もそうでしたが、リリースされた直後は利用対象がないため、忘れた頃にバズる機能かと思います。

今回のブログの報告によると、イタリア語環境においてNotes 10.0.1 FP2の環境を FP3 にバージョンアップするにあたり、この機能が動かないことをサポートと会話していたそうです。その結果、10.0.1から10.0.1.XへのAUTの利用は、イタリア語環境だけでなく、英語版以外の全てのクライアントで利用出来ないそうです。当然日本語版でも該当します。

これについては、アイディア投稿サイトに早速エントリが出来ました。
https://domino-ideas.hcltechsw.com/ideas/DOMINO-I-1072 
 バグか仕様か、という話はありますが、この手の言語依存環境における課題をきちんと認識してもらうことは重要で、日本語圏からは特に発信が届きにくいこともあり、ここは是非、上記のアイディアサイトの「VOTE」を皆さんでクリックして頂けると、未来が期待出来ると思います。

HCL社になり、Domino V11は各国語同時リリースされるなど、各言語からの意見は十分に届いているようですし、また、本日 Factory Tour のために来日した Notes/Domino担当者、Sametime担当者と、個別に「日本からの要望として、製品検証をするときは、コンテンツに日本語やUTF-8で試すことを忘れないで欲しい 」と言ってきましたが、彼らは既に実施済であり、よく認識されているようでした。今回のようなケースもありますが、そこは皆さんの声で改善出来れば、と思います。

 なお、Roberto氏のブログの続きによると、AUT は今のところ完全にバックグラウンドでは動かず、手動終了する必要があったりなど、もう一歩のようですので、こちらも改善されるとよいですね。